軍人公爵は身代わり花嫁を溺愛する

身代わりで嫁いだ相手は、かつて想い合った寡黙な騎士

エーファは騎士のオスヴァルトと恋仲だったが、ある日、何者かにさらわれてしまう。あれから4年、敗戦国の王女ナターリエの身代わりとしてエーファは祖国へ戻り英雄となっていたオスヴァルトに嫁ぐことに。「俺は愛する女を失った。おまえに奪われた」今もエーファの行方を捜すオスヴァルトに真実を告げられず、夜ごと甘く淫らに責められて…!?ヴァニラ文庫

60冊目の書籍、『軍人公爵は身代わり花嫁を溺愛する』です。
ついに60冊!デビューが2011年6月なので、60冊刊行するまでに8年2カ月かかったことがわかりました。100冊を目標にがんばりたいです!単純計算するとあと5年強……先は長い……

西洋風の作品ではわりとコミカルな小説を書くことが多いのですが、今回は全力シリアスです。
主人公のエーファには、これでもかというほどつらい展開が続きます。大陸内で問題視される国のわがまま王女ナターリエのもとに攫われて、ナターリエのふりをしなければ娼館に売り飛ばされるという過酷な環境に4年も耐え、その間に同じ身代わり仲間の少女たちはそれぞれの理由で娼館へ売られていきました。
オスヴァルトとエーファの恋模様がメインなのはもちろんですが、今作ではエーファの身代わり仲間の少女たちのこともしっかり描写しようと心に決めて取り組んでいます。エーファは名前を奪われ、ツェーン(10番目の意味)と呼ばれ、アインス(1番目の意味)とフィーア(4番目の意味)と呼ばれる少女たちと互いを励まし合って生きていました。
身代わりの少女たちは皆、非業の運命をたどっていきますが、エーファのほかにもうひとり生き残ったたくましい女性がいます。彼女が後半登場するシーンでは、「よし行け!復讐だ!」とキーボードを打つ手に力が入りましたよ!

そして、普段よくしゃべる男性キャラを書くので寡黙な騎士という設定のオスヴァルトをどう動かすか、そこもかなり迷ったところです。
彼だけがずっとエーファを探し続け、そしてエーファを取り戻すためならば自分の人生さえ棒に振る覚悟を決めていました。だからこそ、敗戦国の王女ナターリエとの結婚を決意するわけですね。もしエーファが戻っても、もう彼女と結ばれることはない。その覚悟を決めたオスヴァルトの気持ちは、よかったら本編で読んでいただけると嬉しいです!

駒城ミチヲ先生とは現代ものでご一緒することが多かったのですが、今回は初めて西洋風で一冊まるっとご一緒させていただきました。(本作より以前に、アンソロジーで一度西洋風の作品にイラストをつけていただいたことがあります)
本作は、ストーリーの都合上エーファの外見が作中で変化する場面が多く、段階を踏んで髪色が変わっていく様子を挿絵で見事に表現してくださいました!そしてそっくりな顔をしたナターリエ王女の姿も挿絵に登場しまして、エーファとの違いを表情で表現してくださっています。ナターリエの邪悪な表情、ぞくっとくる美しさでした……!
忘れてはいけないのが、オスヴァルトの軍服です。軍服男子、最高でした。ごちそうさまです

当社比で、ちょっと重めのお話です。どうぞよろしくお願いします!

軍人公爵は身代わり花嫁を溺愛する

無口な騎士×身代わり王女

エーファは騎士のオスヴァルトと恋仲だったが、ある日、何者かにさらわれてしまう。あれから4年、敗戦国の王女ナターリエの身代わりとしてオスヴァルトに嫁ぐことに…more

2019年8月発売
イラスト:駒城ミチヲ先生
ヴァニラ文庫/ハーパーコリンズジャパン